カッティングプロッタ 「シルエットカメオ3 / Silhouette Cameo 3 」レビューや競合との比較など


購入しました。ついでに公式ソフトSilhouette StudioをDesigner Editionにアップグレードしています($49)。神です。

カッティングプロッタとは、カッティングシートや紙などの薄いメディアを自動でカットしてくれる機材です。厚い素材ではレーザーカッターやCNC加工機などが候補に上がりますが、レーザーカッターは熱で切るという仕様上どうしても溶けたり焦げたりしますし、基本的にCNC加工機のほうが汎用性は高いです。今回はそこまでの性能は不要でした。
さてこのカッティングプロッタ、家庭用というか趣味レベルで導入しやすい価格帯のものは、日本国内では3社のものを入手でき、Roland DGのStikaシリーズ、BrotherのScanNCutシリーズ、アメリカのSilhouette社のCameoシリーズです(本国Silhouette社サイト経由であればCameo以外にもある)。
アメリカでは他にもCricut社のものが有名らしく、最新機種であれば薄めの木材など様々な素材にも対応しているようです。また、プロ用であれば日本でもGRAPHTEC社がより基準の高いものを多数販売しています(ちなみにCameoの日本代理店がGRAPHTECさんです)。

価格帯で考えればStika、ScanNCut、Cameo、Cricutになるのですが、とある機能においてCameoが優れていたために選択しました。
ざっくりと言えば「PC上のソフトで作成したデータとメディア上の印刷物とで位置関係を同期し、その上でソフトからカット位置を指定できる」というものです。
こういうのは主に絵の輪郭に沿ってカットしたいという目的がほとんどで、要するにトンボカットなわけですが、詳しくは後述します。

まずStikaですが、これは機能的にはCameoと似ています。PC上のソフトでカットデータを作り、ステッカーやアイロンシート等をクッキーの型抜きのようにカットできるほか、印刷するメディアにトンボも一緒に印刷し、カッターの位置を「目測」でトンボに合わせるという力技で、印刷物とデータとで位置を同期させ、輪郭や中抜きなど自由な形を指定してカット(以後プリントカット)することも一応できます。
ただ、この目測で合わせるという特殊なトンボの認識方法が、ステッカー製作の超ロングセラー製品としてこれ一本でコンシューマー向けの前線を張り続けていることの裏返しでもあり、本来がステッカー製作用途に重きを置いた製品であることはおそらく間違いなく、それが目的ならばStikaは間違いないでしょう。名前からしても。そしてRoland DG社は本来業務用マシン専門です。

次にScanNCutですが、こちらはその名が示す通り、メディアの印刷物を「スキャンして」それ通りにカットできます。
これだけ聞くと、トンボを印刷しなければならないStikaやCameoより便利に感じます。しかしScanNCutの場合、(この記事執筆時点で)プリントカットの際にPC上のツールと位置の同期ができません。スキャンした時点で本体の機能の中で済ませる必要があります。
スキャンの意味するところが「スキャンデータがPCに送られて、そこから絵に合わせてカット線を作れる~」みたいなナイスな機能ではなく、ScanNCut本体内の機能に閉じ込められてしまう皮切りになっているのです。
実際にどういった問題が起きるか。まず、絵の輪郭や中抜きしかカットすることができません。次に、基本的にメディアの下地は白を前提としており、印刷色が曖昧だとスキャン時に輪郭を認識しなかったりするかもしれません(これはトンボ読み取りマシンであっても、そのトンボ配置時の制約として共通するところが多いです。透明メディアじゃ読み取れないとか周りに絵を描くなとか)
前者の問題の例としては、塗り足してトンボ断ちのようなキレイなフチ無しの作品にカットすることができないことになります。機械とはいえ当然わずかなズレが生じるので、これはちょっと萎えそうです。逆に、オリジナルデザインのうちわを作ろうとして、白い背景の中央にロゴを配したようなデザインをカットしようとすると、うちわの形のカット線も忘れずに印刷する必要があります。
後者の問題としては、絵がパステル調だったり逆にコントラストが高い場合に認識がおかしくなるかもしれません。また、まっすぐな線にしたいのに不必要にガタついたりするなどといったこともあるかもしれません。
所有していないので確たることは言えませんが、機械任せにするというのはこういう可能性があるということです。

そもそもがPCレスで使えることを目的とした最も初心者向けの機種なのですが、一応他の機種と同様、PC上(オンラインツール、SVGインポート可)で作ったカットデータを送信することはできます。
カッティングシート以外のメディアを挿入する際には、本体付属の目盛り付きの粘着式カッティングマットを用いるのですが、オンラインツールではこの目盛りを模した背景を目安にしてデータを作成することが出来ます。
しかし、PCで作ったデータをスキャンデータと合わせ技にすることができないので、 この場合は印刷メディアをマットの目盛りに完璧に貼り合わせたのち、本体のローラーに完璧な角度で挿入するという超絶技巧な工程を踏むことになります。
これはおそらく個々人の工夫レベルのもので、本来の使い方ではないでしょう。

そこでいよいよCameoです。Cameoが印刷メディアから読み取るのは、Stikaと同様、専用のトンボマークです。しかしCameoがStikaより優れているのは、このトンボをセンサーで読み取るところです。サラッと言ってしまいましたがこれがコスト的に難しいのでしょうね。手動でカッター位置を合わせるStikaよりはるかに高精度になります。
もちろんこのトンボマークを邪魔するようなデザインは認識できませんが、それでも実用上問題はありません。
さらに、トンボで位置を同期した上でPC上で作ったカットデータを送信できます。
カット線も必要なく、フチ無しカットも端まで白色が塗られるデザインも自由自在です。好きなデザインを好きな位置でカットできます。
このトンボ読み取り&カットデータ送信機能はプロ用機材ならほとんど搭載していると言っても過言ではないでしょう。

ScanNCutとCameoでオリジナルの名刺を作る場合を考えてみます。まず家庭用プリンターでもコピー機でもA4やB5などの決まった形状の紙にしか印刷できないので、先に印刷した後にカットすることになります。
名刺はたいてい文字情報を含むので、カット位置は厳密に決めなければいけません。
この時点でScanNCutは位置決めをスキャンに頼るしかありません。先述の工夫をしてもいいですが。そして、スキャン結果にカット線を認識させるためには、名刺の輪郭線を引く or 名刺の形状通りに絵なりパターンなり色が塗ってある必要があります。しかもかなりの濃度の。この名刺はそのデザインを受容するほかありません。そして紙は白いことが前提です。
更にはカット時の微妙な誤差によりフチあり生成物となっても、ScanNCutの正常な動作範囲内です。
なお、文字も切り抜くようなデザインであれば、ScanNCutはオンラインツールを利用してなんら問題なく作ることができます。紙の色的な制限もありません。あくまでプリントカットの話です。
一方Cameoはトンボさえ読み込んでしまえばPC側のデザインどおりの位置でカットが出来ます。A4全体を使うような巨大な絵を背景として、文字だけで枠がない名刺が8枚程度、所せましとデザインされていたとしましょう(実際は隙間を設けるべき)。これをスキャンして名刺の輪郭線を抽出することなどScanNCutにはできません(Cameoにもできません)。しかし、CameoであればPCからカット枠を送信してカットでき、8枚揃って1枚の絵になるよ!みたいな展開の仕方ができるわけです。ジグソーパズルみたいな形状にしても面白いかもしれません。この可能性わかって頂けます? 
(2度目ですが実際は名刺の間隔をある程度設けるべきです。この場合、まずA4大の背景画像の上に隙間を開けずに名刺を並べたデータを作ります。次に、それぞれの名刺より一回り大きい選択範囲で、名刺とその背景画像を1組ずつ、位置を保って一緒にコピーし、新たなA4キャンバスの上に配置していきます。その際、それぞれの背景が重ならない程度に間を空けるのがいいでしょう。この方法でも普通の名刺サイズなら8枚程度は並べられます。)

なお、CameoのソフトであるSilhouette Studio(基本無料)は、この価格帯の製品のソフトとしては高機能で、初心者には扱いにくいとの紹介のされ方をよく見ますが、IllustratorやInkscape等のドロー系ソフトを使ったことがある方ならすぐに馴染めると思います。
また、最初に言ったDesigner Editionというのは、Silhouette StudioにSVGファイルを読み込ませられるようになるアップグレードです。つまり私はカットデータは他のソフトで作ります。これが無いとあまりScanNCutと変わりません。 
さらに上のエディションもあります。デザインしたデータをPDFで保存できたり、アンドゥ・リドゥ履歴を確認できたりするものです。

最後にCricut社のプロッタですが、これは日本では扱われていません。最新機種が対応するメディア素材の種類の多さは素晴らしいものですが、Cricut社のデータ作成ツールに少々癖があります。
Cricut Design Spaceというオンライン上のツールであり、例によってトンボ読み取りしてプリントカットもできるのですが、このトンボ、なにぶん範囲が狭い……。トンボの範囲が狭いということはデザインできるスペースも更に狭くなります。
そしてなぜか画像をそのまま読み込ませることができず、どの程度簡略化するか?ということを聞いてきます。おそらく内部的にベクター画像化しているのでしょう。解像度の概念がなく、どんな画像でも決まったスケールで読み込まれます。元の画像をそのまま印刷したいだけなんだ!
ですから、なんとかプリントカットの良い方法を考えるとすれば、トンボマークだけの白地のデータをCricut Design Space上で力技でPDF保存し(ツール上の印刷ボタンで印刷ダイアログが開きます。その際お使いのOSの力やPDFソフトの力を借りPDFに保存してもらいましょう)、そのPDFファイルを再編集して画像を含ませてから印刷し、Cricut Design Space上で画像と同じ位置にSVGのカットデータを配置して、Cricutのプロッタに印刷メディア挿入&データ送信となるでしょうか。実はこれCameoやStikaでもできる芸当です。これらのマシンは全てトンボが単純な形なので、トンボデータを保存せずとも自前で作ることも出来ます。

今回はプリントカットを取り巻く事情について長々と書かせていただきました。
ハード×ソフトの完成度としては、自分としてはCameoが他を逸して素晴らしいものだと感じています。
Silhouette Studioは画像を読み込む際、画像ファイルに解像度が保存できるもの(TIFFとか)であればその解像度が適応されて読み込まれます。PNGは解像度が無いので300dpi固定となっているようです。そしてSilhouetteStudioからの印刷時の解像度も72~3,000dpiの間で指定できます。PDFやベクターファイルを読み込む時、ベクターデータにするか画像にするかを聞いてきますが、画像にする場合は上限1,200dpiまで選択できます。この融通性も素晴らしい。


窓部をデザインナイフで、外枠をサークルカッターでカットした場合。厚紙の場合は刃を垂直に保つのが難しく、力もいる。精度も無視できないため全体で数十分は要していた。


Cameoにてカットした場合。コピー用紙なので一概に比べられないが、最低速度設定でも1分未満で仕上げるという産業革命。しかも綺麗


(右)外枠も窓部も綺麗にカットされるのが本当に嬉しい。
(左)大変だけど意外に綺麗に切れていた窓部に比べ、外枠をサークルカッターで綺麗に切るのが本当に難しい。なかなか中心が安定しない。

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